メタデータ設計と検索性向上

「電子化したはずなのに、目的の書類がすぐに見つからない」
「検索機能はあるが、結局ファイルを一つずつ開いて確認している」
電子化に失敗した現場で、よく聞く声です。
多くの場合、次のように考えられがちです。
「検索システムが弱いのでは?」
「OCRの精度が足りないのでは?」
しかし、実務を数多く見てきた中で感じるのは、
検索できない原因の多くはシステムではなく、設計にあるという点です。
本当の原因はほぼ例外なくここにあります。
「検索される前提で、メタデータが設計されていない」
メタデータは飾りではありません。
電子化した情報を“使える資産”に変えるための設計図です。
- 検索性は「メタデータ設計」も重要
- メタデータ設計で押さえるべき基本項目
- 検索される視点から項目を決める
- 入力負荷を下げる実務上の工夫
- メタデータは後から育てる
検索性は「メタデータ設計」も重要
最初に結論をお伝えします。
検索性はOCRや全文検索だけでなく、メタデータ設計も重要です。
- どんな項目で検索したいのか
- 誰が、どのタイミングで使うのか
- どの情報が業務判断に必要か
これを考えずに電子化を進めると、
「電子化したのに探せない」状態が必ず発生します。
メタデータ設計で押さえるべき基本項目の代表例
① 文書を特定する項目(=「どの書類か」を一瞬で絞る)
- 文書種別(請求書/契約書/注文書など)
- 取引先名・関係先
- 作成日/発生日
- 管理番号・伝票番号
これらは「まず当たりを付けるための項目」です。
② 業務で使う判断項目(=「次に何をするか」を決める)
- 金額
- 契約開始日/終了日
- 支払条件
- 契約のステータス
これらは業務を円滑に進めるための情報のため、「必要な部署だけが使う項目」です。
③ 管理・法令対応の項目(=「守るため」の項目)
- 保存区分
- 保存年限
- 保管場所情報(紙契約)
これらは「あまり使わないが、ないと困る項目」のため、いざという時に必須です。
検索される視点から項目を決める
メタデータ設計で最も重要なのは、
「登録する視点」ではなく「検索される視点」です。
例えば、
・月次処理で探す書類
・監査対応で探す書類
・問い合わせ対応で探す書類
では、必要な項目が異なります。
使われない項目を増やすより、
本当に検索される項目を厳選することが成功のポイントです。
入力負荷を下げる実務上の工夫
メタデータは増やしすぎると、
現場で入力されず形骸化します。
- 必須項目は最小限にする
- OCRやAIで自動補完する
「完璧な設計」より「運用される設計」を優先すべきです。
メタデータは後から育てる
実務では、最初から最適な設計になることはほとんどありません。
・検索されない項目は削除
・よく使われる条件は追加
・業務変更に合わせて見直す
メタデータは一度作って終わりではなく、
使いながら育てていくものです。
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(近日公開)