OCR精度を上げるためのスキャン設計ガイド

「電子化は終わっているはずなのに、結局ファイルを一枚ずつ開いている」
「検索できると聞いて導入したが、結局人の目で探している」
OCR導入後の現場でよく聞く”悩み”です。
多くの方はこう考えます。
「OCRソフトの精度が悪いのでは?」
「AIの性能がまだ足りないのでは?」
しかし、実際の電子化案件を見ていると
OCRエンジンそのものが主因となるケースは、実務上はそれほど多くありません。
本当の原因はほぼ例外なくここにあります。
「OCRで読む前提で、スキャンが設計されていない」
OCRは魔法ではありません。
”読める状態のデータ”を与えて初めて力を発揮する技術です。
- OCR精度は「スキャン前」の設計で決まる
- OCR精度を左右する4つの基本要素
- 書類を「OCR向き/不向き」で分けるだけで失敗は減る
- 「OCRに不向き=諦める」ではない実務の考え方
- OCR方式を使い分けるという選択肢
OCR精度は「スキャン前」に大きく左右される
最初に結論を明確にします。
実務上、OCR精度はスキャン前の設計で大部分が決まるケースがほとんどです。
- 解像度は適切か
- 原稿状はOCRに耐えられる最適な状態か
- 向き・傾きは揃っているか
- 色の情報を潰していないか
- そもそもOCRに向いた書類か
これらを決めないまま、
「とりあえず全部スキャンして、あとでOCRをかける」
という進め方をすると、
後工程で必ず“使えない電子化”になります。
OCR精度を左右する4つの基本要素
① 解像度(DPI)|「読める」と「使える」は違う
OCR用途では300dpiが基本設計です。
- 200dpi以下:文字化けや誤認識が発生する可能性あり
- 300dpi:精度と容量のバランスが最適(推奨)
- 400dpi以上:精度向上だが処理負荷増大
300dpi未満では、
最終的に人の確認・修正が必要になるケースが激増します。
② 原稿状態|OCRは原稿品質の影響を受けやすい
OCRは理想的な文字を前提にしています。
現場では、次に様な現行が精度を大きく下げます。
- 折れ目が強い書類
- ステープル跡の影
- コピーを重ねた薄字
- かすれた手書き文字
▶ 実務での割り切り判断
- 手書き主体 → 用途を限定してOCR適用
- 重要だが汚い → 検索対象を限定
③ 向き・傾き|人には読めてもOCRには致命的
人間は多少傾いていても読めますが、OCRは違います。
- 数度の傾き
- 横向き・逆さま
- 混在下向き
▶設計ポイント
- スキャナの自動傾き補正(デスキュー)必ずON
- 向きをルール化(縦・横を混在させない)
- 文字主体:白黒 or グレースケール
- 薄字・背景色あり:グレースケール推奨
- 図表・色分け:カラー
- 請求書・見積書・納品書
- 定型フォーマットの申請書
- 印字された議事録・報告書
- 手書きメモ
- 非定型文書
- 写真主体の資料・図面等
④ カラー設定|「容量削減」が失敗を招く
書類を「OCR向き/不向き」で分けるだけで失敗は減る
OCRが失敗する最大の理由は、「すべての書類を同じ前提で扱っている」ことです。
OCR向き
OCR不向き
「OCRに不向き=諦める」ではない実務の考え方
「OCR向き/不向き」で分けるだけで失敗するリスクがあると紹介しましたが、 実務では「向かないから失敗する」と単純に割り切れないケースがほとんどです。
例えば、
・手書き伝票を後から検索したい
・FAXで届く注文書を電子化したい
・古い帳票をできる限りデータ活用したい
といったニーズは、現場では非常に多く存在します。
こうした書類に対して重要なのは、
「OCRに向いていないから無理」ではなく、
書類特性に合ったOCR方式・運用を選ぶことです。
OCR方式を使い分けるという選択肢
一般的なOCRは、印字された定型帳票を前提に設計されています。
そのため、手書き・崩れた文字・低品質原稿では精度が出にくいのが実情です。
一方で近年は、手書き文字や非定型帳票に強いOCR技術も登場しており、
書類の種類によってOCRエンジンや処理方法を使い分けることで、
「これまで無理だと思っていた書類」も活用できるケースが増えています。
弊社では、
・定型帳票に強いOCR
・手書き・非定型書類に強いOCR
の両方を扱っているため、書類に合わせた最適な方式をご提案できます。
とはいえ、
実際の書類を見なければ判断が難しいケースも多いのがOCR導入です。
・この書類はOCRに向いているのか
・どこまで読ませれば実務で使えるのか
・手書きや非定型書類はどう扱うべきか
こうした判断は、書類の種類・量・活用目的によって変わります。
だからこそ、ツール選定の前に
「書類を前提にした相談」をおすすめしています。
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